阿部力也さん(51期生) | 東京クリーニング学校はプロとしてのクリーニング技術や知識、事業経営を指導します。

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阿部力也さん(51期生)

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クリーニング学校卒業生阿部力也

学校生活が無ければ、商売において向上心を持つ気力が欠けていたと思います。

第51期生
平成18年3月卒業
東京報洗舎に勤務
HP>>東京報洗舎ホームページ(扇橋商店街ホームページ内)

入学のきっかけを教えてください

私はクリーニング業に携わる前、住宅メーカーの営業というクリーニング業とは全く接点の無い職業をしていました。クリーニングの「ク」の字も知らない状況からのスタートでしたので、先ずは「クリーニング業とは何か」を知らなければならないと思ったのが、入学の第一歩でした。勿論、基礎知識を身に付けるためでもありましたが、正直、二の次でした。

学校生活を通じて感じた自分の変化は何かありましたか?

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同級生とは年齢や目的、クリーニング業の知識や経験も様々。こうした仲間との出会いが私にとりましては大変刺激的でした。色々な考え方を持った仲間達と、クリーニングという一つのテーマを様々な角度から眺め、意見交換ができたことで、前向きに仕事と学業をこなすことが出来ました。仕事の愚痴、悩み、父親から会社を引継ぐ話など、クリーニング業の基礎知識を学び始めた私にとりましては、自分のおかれた環境と照らし合わせ、比較したり、考え直したり、反論したりと非常に充実した日々でした。こうした学校生活を通してクリーニング業に対する考え方や、私自身が目指すクリーニング業の在り方を模索できるようになれたことが大きな変化でした。

 また、学業面ではクリーニング業の実務内容に反して、授業内容が非常に理化学的であることに驚きました。私の苦手分野だということもあり、毎日のように予習復習を繰り返していたのを覚えています。このような日々の中でテストがあったり課外授業へ行ったりと、忘れかけていた学生時代の感覚を思い出すことが出来ました。知りたいことは自ら率先して勉強し、必要だと思うものはノートに記録をする。当たり前のことのように思えますが、社会に出るとその当たり前の行動が出来ない人が沢山います。私は社会人から、ほんの一年でも学生に戻れたことで、自ら学ぶことに時間を費やし、新しい知識を吸収することを苦になく受け入れられる身体になれたと思います。学校生活が無ければ、商売において向上心を持つ気力が欠けていたと思います。

学校に通って一番勉強になったことは何でしょうか?

やはり基礎知識です。仕事の中で難題にぶつかった際、何に原因があるのか、どこを検証すれば良いのかなど、問題解決をするために必要な考え方を持つことが出来ました。
 汚れの経緯が解れば落とし方が見えてきますし、衣類の作りが解れば仕上げのポイントが見えてきたりと、クリーニングの世界にも因果関係があります。重要なのは衣類を様々な角度から検証し、解決への糸口を見つけることです。その中で正しい答えを見出すことが出来るのです。
 例えばクリーニング事故について、私のクリーニング方法に原因があったのか、アパレルメーカーの製品そのものに問題があるのか、それともお客様の取扱いに不手際があったのかなど、確実な基礎知識を持っていれば、三者とも対等な立場で話をすることが出来ます。私自身が前進するために必要な知識を与えて頂いたと思います。

今現在、力を入れてること。また、目標をお聞かせください。

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地球環境を視野に入れた会社づくりに力を入れています。洗剤量や洗浄方法の見直し、包装資材の削減、エコバッグ、排水制限、考え得る限りのリユース・リサイクル・リデュースを実行しています。エコロジーは追求すると逆に資金が必要になったり、お客様へのサービスが手薄になることもありますが、今はどんなことにも挑戦して継続することが大切だと考えています。誠意を持ってお客様と接すれば必ず気持ちは伝わります。私たちは石油製品を多量に使用する業種なのですから、どの企業よりも真剣にそして迅速に取り組む必要があると思います。私たちが積極的に環境問題に取り組む姿勢を社会に示さなければ、今後のクリーニング業は現在の不況の波にのまれたまま、低迷の一途を辿るのみだと考えています。

 今後の目標としましては、他業種への働きかけを強化し、現状のクリーニング業では獲得困難な消費者を顧客にすることです。他業種がクリーニングをサービスの一環として捉える部分や、作業効率のアップを図る部分など、様々な業種が持つクリーニング部門に携わっていきたいと考えています。仕事が来るのを待つのではなく、こちらから動き出さなければ始まりません。しっかりと体制を整え、積極的に取り組んで生きたいと思います。

仕事を通じて感じる、後輩に伝えたいことは?

実際の仕事は学校で習った通りにはいきません。また、学校で習った知識を頭に入れておく必要もありません。大切なことは何か壁にぶつかったとき、「これは学校で習ったな」「先生がおっしゃっていた気がする」「こうしたら、どうなるのだろう?」というように「気付く」ことです。気付いたときに教科書を開けば良いのです。必要な情報は教科書を見れば載っています。職場での私の机には、学校で頂いた教科書やメモ書きをしたノートが全て置いてあります。何か気付いたらすぐに資料を開く。今ではそれが私の財産となっています。
 気付く力を養うために学校に通う1年間を充実したものにして下さい。授業中はしっかりと勉強して、終わったら仲間としっかり遊びましょう。夕方まで仕事をして、夜まで勉強をしたら、ストレスが溜まりすぎて体が持ちません。どんな形でも良いですから必ずストレスを発散しましょう。私の場合は学校が終わったら、近くの居酒屋に仲間と一緒に飲みにいっていました。時には朝まで飲んでしまって、逆に体調を悪くしたこともありましたが…。仕事と勉強と遊びを上手くコントロールして気持ちにゆとりを持つことが大切です。ゆとりを持てばきっと気持ちの中に「気付く」ためのスペースが出来るはずです。

 もう一つ。「自分の店が一番!」だと思わないことです。私たちの業種には自分の店の限界を「こだわり」と解釈し、正当化する傾向が強くあります。それは店のこだわりではなく、妥協です。「他の会社はどんなサービスをやっているのか」「その料金で仕上がりはどの程度なのか」「どうしてそんなに高い料金がもらえるのか」「自分の店と何が違うのか」など、常に他のクリーニング店を意識し、試行錯誤を繰り返し、会社の発展のために勉強をしてもらいたいと思います。現状維持すら困難な現在の経済状況の中、向上心を持って道を切り開かなければ生き残れません。
 色々言いましたが、皆さんも私も学校を出れば同業者のライバルです。学校で培ったものを全て出しきって、より素晴らしいクリーニング店を目指して頑張っていきましょう。